伝統と革新(400年続く林業地と移動式製材機)

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鳥取県の南東部に位置する智頭町では江戸時代後期から杉の植林が始まったと言われています。
現存する最高齢の杉の大木群は「慶長杉」と呼ばれ、山林に鎮座するその迫力は人々を魅了しています。
徳川藩政時代、まだ交通が不便な時代において、杉材の利用 用途として、高級な板材及び桶樽材として、奥山で運搬の容易 なクレ材(桶・樽用にみかん割にされた板)へ加工され、川下 へと搬出されました。これらの生産の初期には、智頭町の東側 に位置する東山・沖の山を一帯とする天然杉の無節材を中心に 選んで伐っていたので、当時から人工林においても植林目標を、 クレ材が採れる大径木無節材を目的として保育され、「枝打間伐」 が習慣的に智頭林業の特徴として行われてきました。 (智頭の山と暮らしの未来ビジョンより)
その智頭町で自伐型林業を営む私達には、「必要以上に伐らない文化」とともに 「長伐期大径木を目指す」という先人がの思いが、現場で働く時間と比例しながら自然と継承されているのだろうと思います。
100年を超える人工林が作り出す景観は決して1代では作ることが出来ず、子や孫のことを思って山林で汗を流していただろう先人には感謝しかありません。
しかし、現在の木材マーケットでは大径木が売れないという声をよく聞きます。理由としては、いまの製材システムに合わないからとか、製材効率が悪いからとか、いろいろ言われていますが、大径木(長尺材)を製材出来る製材機があれば、また大径木ならではの価値がマーケットにちゃんと提示できれば話は違ってくると思います。(何より3世代かけて育てた木を安売りしたくはありません)
その可能性を秘めているのがwoodmizer社の製材機だと思います。
弊社としては今年LT15WIDEを導入いたしました。
今まで間伐した材はほぼ原木市場に出荷しており、その原木を評価し値段をつけるのは買い手側でした。
しかしこれからは製材機がある事によって、伐り旬、葉枯らしした材、市場に出回らない長さの材や、市場に出してもチップに回される曲がり材など、売り手側(山側)が木に対して価値をつけることが出来ると思います。
我が家で使う材木の自給率も上がってくることでしょう。
伝統を重んじる大工や左官と連携し、築年数を経ても資産価値の高い住宅を作って行く事も出来ると思います。
我々山側の使命として永続的に使える作業道をしっかりと開設し、環境保全と生物の多様性を担保した施業を心がけ、必要な時に必要なだけ木を切り出し製材していく。タンコロ(木の根元の曲がった部分)や端材は薪などにして小さなエネルギーに変えていく。
そういった小さな林家が沢山増える事が、国土の7割を占める、この国の中山間地域の持続となっていくと思います。
大量生産大量消費の時代から次の時代へ、古き良きモノが好きであればあるほどに、自身が誰よりも早く先に進まなければ、バランスが取れないと思いながら明日も山に向かいます。
株式会社皐月屋 代表 大谷訓大

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